フィードバックの本来的機能
ありがちな態様
仕事の場面で「フィードバック」というと、もっぱら業務上改善すべき点を事後に注意するため、上司・先輩が部下・後輩に対して一方向的に行うことが多いように見受けられます。
本来的な語義
フィードバックという語の本来的な語義は、
- 国語辞書 大辞林
- [電気回路] 入力と出力のあるシステムで、出力に応じて入力を変化させること。
- [心理学/教育学] 行動や反応をその結果を参考にして修正し、より適切なものにしていく仕組み。
- [生物学] 結果を原因に反映させて自動的に調節していくこと。
- Collins COBUILD Advanced American English Dictionary
- If you get feedback on your work or progress, someone tells you how well or badly you are doing, and how you could improve. If you get good feedback, you have worked or performed well.
- The Merriam-Webster Dictionary
- the transmission of evaluative or corrective information about an action, event, or process to the original or controlling source
- the partial reversion of the effects of a process to its source or to a preceding stage
- the return to the input of a part of the output of a machine, system, or process (as for producing changes in an electronic circuit that improve performance or in an automatic control device that provide self-corrective action)
フィードバックという語の本来的な語義に照らせば、注意のためだけに一方向的に行われるのみのフィードバックは機能不足です。
本来的機能
仕事の場面でのフィードバックの本来的機能は、
- 業務上改善すべき点だけでなく、業務上称賛される点についても行う
- 上司から部下への一方向ではなく、双方向で行う
- 業務上改善すべき点については、助言を受けた者がその言動を「自動的に調整」(自律的に事前改善)できるよう導く
ことにあります。
組織文化としての意義
トップダウンの一方向のみではなくボトムアップも機能するフラットな組織文化では、双方向のフィードバックは以下のような利点をもたらします。
- 現場の生の情報が上層部に届きやすくなる
- 社員の当事者意識が高まる
- 上司が自身のマネジメントの改善点に気づきやすくなる
そのためには、たとえば以下のような取り決めがまず必要になります。
- ボトムアップの意見が単なる愚痴や批判と見なされないようにする
→「誰が言ったか」ではなく「何を言ったか」を重要視するスタンスを組織に定着させる - 様々な意見で現場が混乱することのないようにする
→最終的にどう意思決定するかを組織内で明確にする
組織行動としての意義
組織行動として見るならば、フィードバックは組織におけるコミュニケーションのひとつであると同時に、その他(たとえばメンタリングや1on1ミーティングなど)のコミュニケーションの基盤をなすものであり、双方向的に改善と称賛を頻繁に交わすことによって、組織はその改善・学習力を高めることが可能となります。
それはすなわち、組織が社会状況への柔軟かつ迅速な変化対応力を向上させることに繋がります。
戦略的視点
仕事の場面で行われるフィードバックは、もっぱら業務上改善すべき点を事後に注意するため上司から部下へ一方向的に行われるが、それだけでは機能不足である。
業務上改善すべき点のみならず業務上称賛される点についても、上司から部下あるいは部下から上司の双方向的に行われるのが望ましい。
また、とくに業務上改善すべき点については、助言を受けた者がその言動を自律的に改善できるよう導く(以後は助言不要にする)のが、フィードバックの本来的機能と言える。
フィードバックをその本来的機能に即して運用することは、組織文化としても組織行動としても意義がある。
組織文化としては、現場の情報を上層部に届きやすくし、社員の当事者意識を高め、上司自身のマネジメントの改善点に気づきやすくする利点がもたらされる。
組織行動としては、組織は改善・学習力を高めることができ、それによって社会状況への柔軟かつ迅速な変化対応力を向上させることができる。