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従業員も共通に持つべき「企業・組織合理的に考え行動する視点」とは...?
戦略的視点
#7
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従業員も仕事では「経営者視点」を共通に持つべきだと言われています。
その「経営者視点」とは、『経営者のように企業・組織合理的に考え行動する視点』を意味します。
ただしその意味合いには、少なくとも以下2通りの解釈の余地があります。
ここで留意したいのは、「経営経験のない者が経営者のように考え行動することは可能か」という点です。
例えるならば、その山の頂上に登ったことがない者に対して「その山頂からの景色を実際に見たように絵を描け」と言うようなものです。
上述の2通りの解釈はいずれも、経営経験のない者が想像する非現実的な「経営者イメージ」を拠り所としており、およそ「従業員が共通に持つべき実務的な視点」とするには無理があります。
また、経営者は自社およびその利益に関するすべてを常に大局的かつ逆算的に考えて行動しているわけですが、従業員にもそこまで考えて行動することを求めるというのは、(法定労働を超えて)従業員にも無償の労働や貢献を強いることになり、適正な労働環境やコンプライアンスの観点から無理筋と言えましょう。
つまり、従業員も「経営者視点」を共通に持つべきというのは、現実的でもなければ実務的でもない「べき論」です。
では、従業員も共通に持つべき現実的・実務的な「企業・組織合理的に考え行動する視点」とは何か。
経営陣のみならず従業員のすべてが自社の理念等(注1)をその考え方や意思決定に反映させて行動するいわゆる「理念経営」(ビジョナリー経営)は、企業・組織の本来的な経営のあり方です。
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従業員も共通に持つべき「企業・組織合理的に考え行動する視点」とは、経営者同様のそれではなく、理念経営に基づくそれとするのが現実的にも実務的にも妥当します。
理念経営に基づいて「企業・組織合理的に考え行動する視点」すなわち『経営視点』は、
と定義できます。
注1)企業の理念等の捉え方には通説的な定義や区分はなく、企業それぞれです。概括的理解としては大きく3つの系譜に区分できます。①企業活動の視点から「企業理念〜経営理念〜行動基準」と捉える系譜、②企業価値の視点から「ビジョン〜ミッション〜バリュー」と捉える系譜、③社会貢献の視点から「パーパス」と捉える系譜。ただし、ある企業の理念等がたとえば企業活動の視点(①)で表現されていたとしても、その企業は企業価値や社会貢献の程度が低いということにはなりません。3つの系譜を兼ね備えた理念等の捉え方がなされていることが多いです。
従業員も仕事では「経営者視点」(経営者のように企業・組織合理的に考え行動する視点)を共通に持つべきとされる。
しかし、経営経験がないのに経営者のように考え行動しろというのは、現実的にも実務的にも無理な話である。
経営陣のみならず従業員のすべてが自社の理念等をその考え方や意思決定に反映させて行動するいわゆる「理念経営」(ビジョナリー経営)は、企業・組織の本来的な経営のあり方と言える。
すなわち、従業員も共通に持つべき「企業・組織合理的に考え行動する視点」とは理念経営に基づくそれとするのが妥当で、「経営者視点」とは似て非なるものである。
理念経営に基づいて「企業・組織合理的に考え行動する視点」すなわち『経営視点』は、従業員それぞれが業務のあり方や職務上の行動等を判断する際に、自社の理念等に絶えず立ち返り、『当社の理念等に照らしてどう考え行動するのが当社に相応しい(当社として正しい)か』と捉える視点と定義できる。
新規追加:2025年4月23日
執筆:山田 芳之
ビズガイバー 代表