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部門の垣根を超えて顧客体験を高める社内マーケティングとは...?


このページのポッドキャスト

当該ポッドキャスト(音声概要)は、Gemini Notebook (Google NotebookLM) にて生成されたものです。
日本語の読み・発音等に不正確な箇所がありますが、このページの大筋を5分程度で把握できます。

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戦略的視点 #8

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社内マーケティングの重要性

マーケティングの定義

マーケティングと言うと、日本では「売れるための仕組み(づくり)」という狭義で捉えられることが多いように見受けられます。

日本では米国のビジネスの理論やノウハウがもっぱら手本とされ導入されますが、その米国ではマーケティングはどう定義されているでしょうか。

  • フィリップ・コトラー(近代マーケティングの父)
    マーケティングとは「顧客にとって価値あるモノやサービスを創造し、顧客の課題を解決するすべてのプロセスである
    [出典] フィリップ・コトラー / 高岡浩三 著『マーケティングのすゝめ』
  • ピーター・ドラッカー(マネジメントの巨匠)
    マーケティングの目的は「販売(セリング)を不要にすることだ。マーケティングの目的は、顧客を理解し、製品やサービスを顧客に合わせ、自ずから売れるようにすることである
    [出典] P.F.ドラッカー 著『マネジメント [エッセンシャル版]』
  • American Marketing Association(アメリカマーケティング協会)
    "Marketing is the activity, set of institutions, and processes for creating, communicating, delivering, and exchanging offerings that have value for customers, clients, partners, and society at large."
    [出典] What is Marketing? - The Definitions of Marketing

日本でも以下のような公式的な定義があります。

  • 日本マーケティング協会(JMA)
    マーケティングとは「顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである
    [出典] 公益社団法人日本マーケティング協会 2024年制定定義

巷のように「売れるための仕組み(づくり)」との狭義では捉えられていないことが分かります。

組織内コミュニケーションとの違い

部門内あるいはチーム内では、組織内コミュニケーションを合目的に運用することで、部門内あるいはチーム内のメンバーのエンゲージメントを高めることができます(注1)。

部門の垣根を超えて「社員エンゲージメント」(注2)を高めて「顧客体験」(注3)の向上につなげる取り組みとして、「社内マーケティング」を挙げることができます。

社内マーケティングとは

社内マーケティングは一般的に、「インハウスマーケティング」と「インターナルマーケティング」に大別できます。

  • インハウスマーケティング(In-house Marketing)
    外部の代理店などを使わずに自社のリソースで行うマーケティング業務
  • インターナルマーケティング(Internal Marketing)
    自社の社員を対象としてそのサービスや取り組みの理解・浸透を図るマーケティング活動

ここでは後者の「インターナルマーケティング」を社内マーケティングと定義し、部門の垣根を超えたマーケティング活動の重要性に注目しています。

社内マーケティング不足の弊害

マーケティングが狭義で捉えられている社内では、マーケティングはもっぱら社外の顧客向けのものと認識されます。そのような状況では社内マーケティングが不足します。

社内マーケティングが不足すると、たとえば以下のような負の連鎖が起きることになります。

  • 従業員体験の劣化
    社内マーケティングの不足は、部門間の連携不全や情報分断を招き、仕事環境としての「従業員体験」(注4)を劣化させる
  • 社員エンゲージメントの低下
    従業員体験の劣化は、会社への信頼感や主体的な貢献意欲を削ぎ、従業員満足度や「社員エンゲージメント」の低下を招く
  • サービス品質の悪化
    社員エンゲージメントの低下は、顧客に提供する「サービス品質」の悪化につながる
  • 顧客満足度・顧客ロイヤルティの低下
    サービス品質の悪化は顧客の期待を損ねて「顧客満足度」を低下させ、それが度重なると「顧客ロイヤルティ」(注5)も低下する
  • 顧客体験の劣化(業績悪化のリスク)
    顧客満足度と顧客ロイヤルティの低下は全体としての「顧客体験」を劣化させ、評判悪化や顧客離れ、新規顧客コスト増大などを引き起こし、最終的に「業績悪化」のリスクを高める

この負の連鎖は、「サービス・プロフィット・チェーン」にいう好循環の負のシナリオと言えるでしょう。

  • サービス・プロフィット・チェーン(Service Profit Chain)
    社内サービス品質が向上して「従業員体験」とりわけ「社員エンゲージメント」が高まると、それが「顧客体験」に好影響を与え、最終的に企業の収益向上や持続的成長につながるという一連の好循環を示す組織行動論・経営学の理論

社内マーケティングの施策

このような負の連鎖を防ぐには、社内マーケティングとして社内全体で顧客の課題を解決するプロセスにフォーカスして、社員エンゲージメントを高めることがまず必要になります。

たとえば以下のような段階を踏まえた施策を講じることができます。

  • 顧客中心の企業文化の醸成
    全社員が顧客のニーズを常に最優先に考え行動することを奨励し、顧客中心の企業文化を醸成する。高い顧客体験を獲得した成功事例を定期的に社内共有することで、社員エンゲージメントの向上につなげる
  • 部門間コミュニケーションの円滑化
    各部門が社内ニュースレターなど社内向け広報を活発に行い、各部門のマーケティング活動や成功事例を社内に周知させる。さらに、それらに対するフィードバックを受け取る仕組みを設けることで、迅速なカイゼンやアップデートを可能にする
  • データ活用の促進
    顧客データや市場分析結果を活用して、社員が顧客のニーズ(とくに顕在ニーズ)を具体的に理解・共有できるようにする。データに基づいた意思決定を行うことで顧客の声を的確に反映させる
  • 目標の共有
    社内マーケティングの目標を社内共有し、各部門がその目標にどのように貢献できるかを考えられるようにする。社内共通の目標を設定することで、社員は部門の垣根を超えて協力しやすくなる
  • 混成チームの編成
    ジョブローテーションの一環として異なる部門のメンバーを集めた混成チーム(クロスファンクショナルチーム)を編成し、顧客の課題解決に向けた共同作業を推進する。それにより部門間のコミュニケーションや情報共有が促され、社内の連携が強化される

注1)[参照] 戦略的視点#6「チームワーク力の秘訣
注2)「エンゲージメント」(Engagement)とは、一般的に『自社やチーム、仕事とのつながりや関わり合いの意識、あるいはそれらへの帰属意識』を意味します。「社員エンゲージメント」は、『社員が自分の仕事や職場にどれだけ関わり合いを感じ、熱意を持っているか』を示す指標とされます。
注3)「顧客体験」(Customer Experience)とは、『顧客がサービスを知ってから利用し最終的に手放すまでのすべてのプロセスで得る包括的な認識や実感』を意味します。
注4)「従業員体験」(Employee Experience)とは、『従業員がその企業への就職を希望してから入社し最終的に退職するまでのすべてのプロセスで得る包括的な認識や実感』を意味します。
注5)「顧客ロイヤルティ」(Customer Loyalty)とは、『顧客が特定の企業やブランド、サービスに対して抱く信頼や愛着』を意味します。なお、類似の用語「ロイヤリティ」(Royalty)は、特許権・商標権・著作権などの使用料を意味します。

戦略的視点

企業が顧客を対象として行う通常のマーケティングのほかに、自社の社員を対象としてそのサービスや取り組みの理解・浸透を図るマーケティング活動、すなわち社内マーケティング(インターナルマーケティング)がある。

部門の垣根を超えて社員エンゲージメントを高めて顧客体験を向上させるには社内マーケティングが不可欠であり、それにより部門間のコミュニケーションや情報共有が促され、社内の連携が強化される。

社内マーケティングの不足は、社員エンゲージメントを低下させ顧客体験の劣化を招く。それは最終的に企業の業績悪化のリスクを高めるという負の連鎖を引き起こす。

負の連鎖を防ぐには、社内マーケティングとして社内全体で顧客の課題を解決するプロセスにフォーカスして、社員エンゲージメントを高めることがまず必要である。
そのためには、たとえば次のような段階を踏まえた施策を講じる:① 顧客中心の企業文化を土壌として、② 社内向け広報など部門間コミュニケーションを活発に行い、③ 顧客データや市場分析結果などデータに基づいて顧客の声を丁寧に拾い上げて共有し、④ 社内共通の目標のもと、⑤ 異なる部門のメンバーを集めた混成チームを編成して顧客の課題解決に共同で取り組む

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業務合理化チェックリスト

社内マーケティングを通じて共通の目標のもと部門間の連携を強め、社員エンゲージメントを高めて顧客体験の維持向上につなげましょう。

  • 部門間の情報連携(コスト・時間ロスの削減)
    • 社内広報の仕組み
      他部門が「いま何をしているか」を把握できるニュースレターや共有掲示板があるか?
    • フィードバック経路
      現場(営業・サポート)が得た顧客の声を開発や企画部門へ迅速にフィードバックするルートが確立されているか?
    • 共通言語の構築
      専門用語による誤解を防ぎ、全社で共通の「マーケティング定義(たとえば、顧客の課題解決プロセス)」が浸透しているか?
  • 顧客データ・資産の有効活用(重複作業の排除)
    • データの民主化
      顧客データや市場分析結果は、特定の部門だけでなく関連する全社員が閲覧・活用できるか?
    • 根拠に基づく意思決定
      経験や勘ではなく、共有されたデータに基づいて施策の判断が行われているか?
    • 成功事例のストック
      高い顧客満足度を獲得した事例がナレッジ化(型化)され、誰でも参照できるようになっているか?
  • 組織構造とエンゲージメント(連携ミスの防止)
    • 混成チームの活用
      重要なプロジェクトにおいて、部門横断的な「クロスファンクショナルチーム」が編成されているか?
    • 共通目標(KGI / KPI)
      部門ごとの個別最適ではなく、社内全体で追いかける共通の顧客成果目標があるか?
    • 役割の理解
      各社員が「自分の業務が顧客のどの課題解決につながっているか」を言語化できているか?
  • 信頼性の維持(手戻り・クレームの防止)
    • メッセージの一貫性
      各部門の発信する情報が相矛盾せず、顧客に混乱を与えない体制になっているか?
    • ジョブローテーションの検討
      部門間の「壁」を壊すため、定期的な異動や短期交換研修などが検討されているか?

この業務合理化、自力のみでは難しいとお感じですか?
ご安心ください。まずはリーズナブルなオンラインサービスの「経営ビルドアップ」にて、ビズガイバーがお力になります。

最終更新:2026年7月2日
新規追加:2026年1月5日

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執筆:山田 芳之
ビズガイバー 代表

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執筆者略歴


山田 芳之

やまだ よしゆき
1972年生まれ

ビズガイバー
代表

【略歴】

  • 大阪あべの辻調理師専門学校卒、大阪大学経済学部経済・経営学科中退、京都大学法学部卒
  • [保有資格等] 調理師免許(1996年取得)
  • 高等学校卒業後、居酒屋、ベーカリー、ファミリーレストラン等の飲食業界にて、接客および調理業務を担当
  • 調理師専門学校卒業後、調理師の腕を頼りに数年間ボランティア活動
  • 2002年から大学在学時9年間、学校法人代々木ゼミナール大阪校にて、大学受験生を対象として主に英語と国語の学習指導および個別指導学生講師を担当。学習指導では入試問題等のピンポイント質問について受験生のべ10,800名超を対応、個別指導では20余名の受験生を担当しその全員が第一志望に合格
  • 2012年2月、Apple Inc.に入社。リテール部門配属でApple Store, Shinsaibashiにて、モバイル機器全種のハードウェアおよびソフトウェアの技術サポート(モバイルエンジニア)業務を担当。入社後の約3年間に顧客のべ23,200名(注:日本武道館の収容人員の2倍強)の技術サポートを対面にて実施。企業経営やビジネスモデルの模範とされるAppleの理念や組織文化、エコシステムなど社外では知り得ないそのDNAを直に学ぶ
  • 2015年10月、ITサービス(IT導入による経営・業務改善、知的無形資産創出等)を提供するコペルニソン合同会社を設立、代表社員に就任。創業2期目で黒字化、通算50以上の事業者の経営・業務改善、30超の事業者の知財創出支援。後継者未育成のところ自己を過信した過労により身体的健康を著しく害し2018年8月廃業・会社閉鎖
  • 2019年5月、スタートアップ支援のベンチャー企業である株式会社ツクリエ(東京都千代田区)に入社。試用期間中に、神戸市の起業支援施設にて起業・経営相談、および京都市からの受託事業(雇用創出事業)の統括責任者を担当
  • 2019年9月、ITマーケティングとして経営代行・業務改善を個人名義で請負。数社に対して中長期にわたる支援・取り組みを継続(現職)
  • 2022年10月、オンラインを皮切りに、組織の経営最適化にコミットする当事業「ビズガイバー」を創業(現職)